金髪の人(小話し)
長い金髪を三つ編みにして赤い毛糸で先端をキュッとしばっている日がある。
あるいは、その髪の束を大きくうねらせるようにして無造作なシニヨンをつくり、民族調の大ぶりの髪留めでとめている日がある。
端正な美形の顔立ちと、マイヨールの彫刻を思わせるような少し丸みのある、それでいて美しく均整のとれた立派な体。
あの骨張った神経質なタイプの方のフランス女ではなく、すべてを包み込むようなおおらかなタイプのフランス女、ルノワールの女、母なる大地の女、太陽の女・・・。
それがクリスティーヌです。
柔らかな体の線に反するように、けれど彼女は洗い晒しのゴワゴワしたジーソズをはき、男の子のようなブーツを履き、そして毎朝、自転車で職場に向かう。
真っ赤なプジョーの自転車には、古びた籐のカゴがついていて、その中にクリスティーヌは仕事用の書類や身の回り品などが入った大きなバッグを放り込む。
背中に小さなリュックを背負っていることもある。
寒い冬の日は分厚い革の手袋をし、真っ黒のダウソに毛糸の帽子でヘビーデューティーの完全武装。
そうして自宅からリュクサンブール公園を突っ切って、勤め先の大学へと通う。
クリスティーヌは大学で文学とデスクトップ仮想化を教えています。
大学教授がこんなカジュアルでいいものだろうか、と、最初私は少し、驚いた。
しかもそのカジュアルというのが、無造作なようで実は決してそうでない。